樋口万太郎

樋口万太郎です。教育について自分が思っていることを語っていきます。

#362 戦略的指導法7「子供の話をしっかり聞こう!」

 先日、5年「割合」の導入場面を参観していました。

難しい単元です。

先生が「シュートが上手い班のランキングを考えよう」という問題を提示しました。(まだ、この時はそれぞれのシュートの本数などは提示していません)すると、

 

星野くん「D班→A班→C班じゃないの。」

生田さん「私たちのチームの方が強そう!」

生駒さん「算数の勉強じゃなく。体育の勉強。」

といったつぶやきが子供達から聞こえてきました。

この学級は、

前の時間に体育でバスケットボールをしていました。

そのときの話をしている子は他にもいました。

 さて、こんな場面。

みなさんだったらつぶやきや話をどう扱いますか。

スルーしますか。

それとも拾いますか。

言い忘れていました。

参観した授業は、校内の研究授業でした。

 おそらく多くの先生はこれらの声を拾わずにスルーし、

シュートの本数などの設定を伝え、

問題を考える時間をとることでしょう。

 なぜ拾わないのでしょうか。

それは都合の悪い話だからです。

子供たちにとってではありません。

教師にとってです。

それらの話を扱うと、

「事前に考えていた授業展開が崩れる」

「授業がなかなか進まない」

といった恐れがあると思ってしまうからです。

都合の悪い話は聞こえないフリをしてしまいます。

中には「今は関係のない話でしょ!」と一喝されてしまう方もいるかもしれません。

 私なら取り上げます。

取り上げるからには、戦略があるからです。

星野くんが言った「D→A→Cだよ」というのは、

これまでの経験から何かの視点で比較をし、順位づけをしています。

だから、「どうしてD→A→Cなの。」と問い返すことで、

シュートが入った数や全体の数といった

本時の学習で大切なキーワードを子供たちから引き出すことができそうだからです。

生田さんや生駒さんの発言も同様です。

2人は算数で提示された問題を体育でしたバスケットボールと何かしら関連づけています。

だから、

「どうして体育の勉強って思ったの。」と問い返すことでキーワードを引き出すことができるかもしれません。

もちろん引き出せない場合もあります。

失敗する場合もあります。

でも、

 一見関係のないようなことでもこの後の学習につながる可能性があります。

(続く)