#380 戦略的指導法18「小さな成功体験がチリも積もれば」
小さな成功体験を積みかねることでできるようになり、わかるようになります。
そして自信がつきます。
小さな、小さな成功体験でも、チリも積もればやがて大きな自信、信頼へとなります。
4年生に「3桁×2桁の筆算」の学習があります。
子供たちは苦手としている単元です。
くり上がりを忘れたり、そもそも計算を間違えたりしてしまいます。
4年生にもなってくると、計算の技能面における差も顕著にでてきます。
329×75の答えを筆算で求めるとき、答えを出すまでに何回計算しないといけないか知っていますか。
実はたし算・かけ算合わせて13回も計算します。
13回も計算をすれば、ケアレスミスもでてきます。
どのように計算をしていったらいいのか混乱するかもしれません。
そもそも九九が怪しい子もいるかもしれません。
私は3桁×2桁の筆算の学習を行う時には、
111×11の筆算を最初に行います。
理由がわかりますか。
「1×1」もしくは「1+1」しかないからです。
この2つの計算を間違える子はいないでしょう。
簡単な計算を13回して、答えを出すのです。つまり、
小さな成功体験を13回して、答えにたどりつく
という経験を積ませたいのです。
この問題ができれば、
「111×12」もしくは「222×22」といった計算に取り組みます。
繰り上がりのない計算に何問か取り組ませたり、簡単な計算を積み重ねたりすることで、
筆算の仕組みを理解することができます。
そして成功体験を積み重ねることで、自分に自信を持てるようになります。
これが小さな成功体験を積み重ねることで、「自信をつけさせる」という戦略です。
学級には自信を持てない子が年々増えてきているように思います。
自信をつけさせるには、「できた」「わかった」という経験を積むしかありません。
この後、繰り上がりのある計算になったとしても、数値が難しくなったとしても、
「簡単な筆算はできていた」という自信が子供たちの中にあります。
だからきっと、どんな問題にも立ち向かうことできるでしょう。
また、筆算が苦手な子たちにとっては、
「私のために簡単な設定を設定してくれている♡」と思ってくれ、教師への信頼が増すかもしれません。
目の前の子供たち全員が最初から九九やたし算も完璧であれば、教科書通りの問題でも構いません。