樋口万太郎

樋口万太郎です。教育について自分が思っていることを語っていきます。

#251 数学的な見方・考え方をより働かせるために②

 

2.鈍らせるとは

マッチ棒を使って正三角形を作っていきます。マッチ棒が□個のとき、マッチ棒は何本必要ですか。

という4年「変わり方」の問題があったとする。

・正三角形が1個のときにはマッチ棒3本

・正三角形が2個のときにはマッチ棒5本

・正三角形が3個のときにはマッチ棒7本

となど考えていくなかで、「あれ?きまりがあるんじゃないの?」と気づく。人は気づくと、人に伝えたくなるものである。きっと「きまりがあるよ!」とつぶやく子がいることだろう。

 一方で、問題を提示する前に、「今日はきまりについて考えていくよ」と教師が伝えたとする。それを聞いた他子供達は「どのようなきまりがあるのかな」「何かきまりがあるんだな」と思って取り組むことだろう。きまりありきになってしまう。

 本単元では、見いだした変化や変化の決まりを表現し伝え合うことで、伴って変わる二つの数量の関係に着目し、表や式を用いて変化や対応の特徴を考察できるようにすることをねらいとしている。

 上記の二つの例のうち、ねらいに書かれているように「見いだした」ことになるのだろうか。またより「働かせ」ているのだろうか。これは前者である。

子供が「きまり」ということを呟いたということは、二つの数量の関係に着目していることになる。

後者は教師が「きまり」ということを伝えたことため、鈍らせているといえるのではないかと考える。

めあてを提示することがダメだといっている話ではない。めあてを提示することで鈍らせているという話でもない。めあてを何のために書くのか。そもそもめあては何なのかというところまで再考してほしい。再考することなく、それがあたりまえかのようにすること自体も鈍らせることにつながる。

 本稿では、前者で子供達が「あれ?きまりがあるんじゃないの?」「きまりがあるよ!」などと表現したことに価値づけることが大切ではないかと考えているのである。