樋口万太郎

樋口万太郎です。教育について自分が思っていることを語っていきます。

#471 授業改善〜4Dを目指せ11〜

1年生を担任しているとき、「作家の時間」という取り組みをしました。

子どもたちが好きな場所で、自分が考えた文を書いている時間です。

好きな場所で書けるため、自分の席から離れている、座っていない状態の子もいます。

子どもたちは教室を飛び出し、

教室の隣のスペースで、寝転びながら書いている子もいれば、

隣の子と相談しながら書いている子もいました。

(作家の時間についての詳しい内容は、検索してみてください。)

 

子どもたちは、この「作家の時間」が大好きでした。

週に1回、金曜日の5時間目に取り組んでいましたが、行事などによりその時間がなくなるときには、「ブーイング」が起こるほどでした。

私自身、作家の時間の取り組みは初めてでしたので、

こんな好きな場所で好きなように書いて、いい作品物ができるのかがとても不安でした。 

しかし、実際には私が思っていた以上の量の作品を出版したり、しっかりと学習したことをもとにかけており、文の質的にも満足できるものでした。

 

これまで新聞づくりをしたり、発表会の練習をしたり、絵を描いたりするために、教室外で取り組ませることはありましたし、そういった活動を私は比較的多く取り入れる教師です。

しかし、作家の時間のように週に1回、自由に活動をさせる場所を子どもたちに選択させたのは初めてだったように思います。

 

(自由といっても、何をしてもいいよという自由という意味ではありません。ある程度の制約がある中での自由です。ある程度の制約があった方が人はより自由に動くことができるのです。)

 

さて、今回はいきなり「作家の時間」という実践例で紹介しましたが、こういった授業は、

D授業(の活用)と言えます。

(次回へ続く)

 

 

#470 授業改善〜4Dを目指せ⑩〜

前回の続きです。

子どもたちは毎時間必ず取り入れられたペア活動に対して、

「えー、またペア!?」

「一人で考えたい」

といった声が子どもたちから聞こえるようになったのです。

子どもたちがペア活動に嫌悪感をしめしたのです。

私は少し以外でした。

そう思って、自分の授業を振り返ってみると、毎時間ペア活動を取り入れているわけではないということに改めて気がつきました。

自力解決の前に必ずペア活動

全体で共有する前に必ずペア活動

ということはしていないのです。

 

私はペア活動を取り入れる理想のタイミングは、

 

「子どもたちがペアで話し合いたい」というタイミング

 

です。今のペア活動の多くは「できたことや知っていることの伝達」で終わってしまっている場合があります。低学年のうちはこれでも構わないかもしれません。しかしいつまでもこれでは困ります。

そこで、私は次の4つの場面でペア活動を取り入れるようにしています。

 

・既習の知識をもとに考え悩んでいる場面

 

・子供の表情から話し合いたいと感じた場面

 

・多様な考えが出てきた場面

 

・課題を達成するために協働的に学んだ方が良いという場面

 

子どもが上のように発言した放課後、授業について話し合いをしたとき、

「明日からペア活動を授業に取り入れるのを禁止」

と実習生に伝えました。

「禁止!?」

という反応の方もいましたが、実はもう1つ、気になっていたことがありました。

それは、

「ペア活動によって授業のリズムが悪くなっている」

ということです。

ペア活動を行なって、全体で考えを交流するという流れが、何かダラっとしてしまうのです。

これは私が思う感覚的なところがあるのでしょうが、この理由も伝えた時には、何か実習生もナットクしているようでした。実習生も思ったところがあったのでしょう・・・。

 

次回に続く

#469 6月8日は安全について改めて考える日

6月8日は、私にとっては安全について改めて考える日です。

なぜ、改めて考えるの?

何があったの?

そう思われた方は調べてみてください。

今、目の前にある「安全」があたり前ではありません。

いつなんどき、どんなことが起こるかわかりません。

今の学級の子たちにも週明け、

「安全」についての話をしようと思います。

今年は、「祈りと誓い」には行けませんが、

今の目の前の子たちに誓おうと思っています。

このような思いがあるため、

さすまた訓練なんて・・・」とSNSに書かれた方に腹が立った。

その方の思いもわからんでもない。むしろわかる。

でも、書く必要がないじゃないか。

 

 

 

 

#468 授業改善〜4Dを目指せ⑨〜

前回の続きです。

 

この原稿を書いているときは、8人の実習生が樋口学級に来ていました。

私が学生だったときにくらべ、みなさん優秀です。

とても熱心で真面目です。

ボランティアやサークル活動で子どもたちと関わっている方もいました。

なんて自分がダメな実習生だったのかがわかります・・・。

本当にその当時の指導教官にはお世話になりました・・・。

 

8人の教育実習はそれぞれ授業を行います。

様々な教科を行うのですが、今回、多くの場面でペア活動を取り入れていました。

今年の子達は「よくペア活動を取り入れるな~」と思っていましたが、

私が今年度意識的にペア活動を多く取り入れており、私の授業を参観したときに

取り入れようと思われたのかもしれません。

「いいなと思ったことは真似をする」

これは子どもたちにも伝えていることです。短い間ですが、そういった技術を盗んでいっていってほしい。実習生へはそんな思いもあります。

(年々ペア活動を取り入れる学生は増えてきています。

私の影響もありますが、そういったペア活動を自分たちが多くしてきた世代なのかなと思ったりしました。またそういった流れを大学で学んできているのかなとも思いました。)

 

話を戻しますが、実習期間中毎日、2時間ある実習生が授業を行なっていました。

どの方も一生懸命に授業の内容を考え、授業の準備を行い、授業に臨んでいました。

もちろんまだまだ粗い授業かもしれませんが、それぞれの方の性格や人柄が出た良い授業でした。

(またまた余談ですが、実習生の授業の反省会で、数年前はNGワードというのを設定していました。それは「準備不足でした」というワードです。時間内でできる限りの準備をして、授業をする。これが大切だと思います。完璧に準備ができるということは、正直なかなかできることではありません。ただ最低限の準備、そして精一杯の準備ができていないと、子どもたちに対して失礼ではないでしょうか。以前の実習生で、私の授業中に準備物を作っている人がいましたが・・・。)

 

それぞれの授業でペア活動を取り入れていたわけですが、

確かに子どもたちはアクティブになっているようには見えました。

ただ授業を見ていくにつれて何か違和感を感じるようになったのです。

この違和感は子どもたちも感じているようでした。

そして、子どもたちは次のようなことを言い出したのです。

 

次回に続く

 

 

#467 授業改善〜4Dを目指せ⑧〜

D授業とはどういうものでしょうか。

D、2次元、縦と横・・・。

 

そう! 自分の席から縦と横といえば、隣の子、前の子。そういった子たちと活動をすることです。つまり、

2人組、3人組、4人組といったグループで

活動するということです。

そう考えると、2D授業は多くの先生が現在行うことができています。

実習生が行う授業でも、「ペアで話し合いをしましょう。」と言います。

 

数年前に「言語活動の充実」というキーワードが出てきて以来、こういったグループ活動が増えたように思います。さらにアクティブ・ラーニングというキーワードが出て、さらにこういった活動が増えたように思います。

 

ただ、考えてほしいことがあります。それは、

 

「なんのために」グループ活動を行うのか

 

ということです。こういったグループ活動はただ取り入れたらいいわけではありません。

何か目標を達成するために、行われるべきです。あくまで手段ということです。

 

しかし、自力解決の後に必ずグループ活動を取り入れないといけないといった形骸化が起きている教室もあるように思います。

 

しかしはアクティブ・ラーニングというキーワードが出てきて以来、ジグソー法、ワールドカフェといった手法を授業に取り入れる場合にも同じことがいえます。

 

ただ子どもたちが手段として使えるようになるには、教師の方から意図的にそう行った場を用意する必要はあります。そういったときは、どちらかといえばグループ活動をすることが目的になっていることでしょう。矛盾する話ですが、、、。私も最近、国語の授業で物語を読み、心に残ったことを二人組で交流させました。

 

グループ活動で何を共有させるのか、

そういったことも大切になってきます。

 

「なんのために」

この連載の核となるキーワードです。

 

詳しくは次回

#465 授業改善〜4Dを目指せ⑦〜

前々回の記事で、

「この春、新しく先生になられた方でも、ある程度の授業観というものを持っています。」

ということを書きました。

 

「私の授業観は毎年アップデートされています。だから、過去と同じようにはできないかもしれない。日々、授業がうまくいくか悩んでいます。」

と言ったときに若い人に驚かれたことがあります。

同じ学年を何回か持つと、

授業5分前に教科書を開いても

それなりの授業ができるようになります。

貯金のように授業観が自分の中に溜まっていくのでしょう。

そういった貯金はもちろん大切なことですが、その貯金を使いながらする恐さも感じます。貯金を使い切ったとき、貯金額を超えるようなことがあったときにどうするのかということです。

10年前の子どもと現在の子どもの状況は異なります。

2年連続で同じ学年だったとしても、去年と今年の子では状況が違います。

もしこれまでに経験してきたこと以上のことが起こったらどうするのかということです。

また10年前より現在の方がICTを使った授業が増えてきました。

ICTが使えないから、そういった授業をしませんでは、目の前の子たちが不幸です。

だから、私は貯金も大事にしつつ、アップデートをするように心がけています。

#464 授業改善〜4Dを目指せ⑥〜

さて前回から

 

boseteacher.hatenablog.com

 

4D授業から脱線してきているようですが、

脱線ではありません笑

多分・・・笑

今回伝えたいことは、普段あたりまえのようにしていることが、

「本当にあたりまえのようにしないといけないのか」ということです。

 

・ ノートは必ず授業中にとらないといけないのでしょうか。

・ 授業の最初は必ず挨拶をしないといけないのでしょうか。

・ めあては必ず書かないといけないのでしょうか。

・ 教師は板書を必ずしないといけないのでしょうか。

・ 1時間の流れがわかるように板書は、授業中に消したらダメなのでしょうか。

・ 発表するときは必ず手をあげないといけないのでしょうか。

・ 必ず座って勉強しないといけないのでしょうか。

・ 自力解決のときは必ず1人で考えないといけないのでしょうか。

・ 先生は採点をするとき、必ず赤ペンでないといけないのでしょうか。

・ 宿題で必ず音読をしないといけないのでしょうか。

・ 発表を聴くとき、必ず手は膝の上でないといけないのでしょうか。

 

どれも「あたりまえのように」指導している方がいます。

 

授業とは離れますが、こんなあたりまえに関する疑問があります。

・終わりの会を必ずしないといけないのでしょうか。

・朝のスピーチを必ずしないといけないのでしょうか。

 

「どうしてシャーペンを使ったらダメなのですか」

と質問されたとき、子どもたちが納得する答えを返すことができるでしょうか。

一喝するのは、最悪です。それと同じことです。

 

もし上記のことに子どもから質問されたとき、子どもたちが納得できる答えを言えますか??

もし言えないのであれば、そのことは必要ないのかもしれません。

 

これらのあたりまえを改めて再考したとき、新たな授業観が見えてくるのかもしれません。

 

 

(続く)